LECTURE地域学校での講演

地域学校での講演

【サンプル】地方の製造業が、採用難の時代に新卒生からの応募を獲得するために採っている採用戦術

【サンプル】地方の製造業が、採用難の時代に新卒生からの応募を獲得するために採っている採用戦術

大分デバイステクノロジー株式会社 代表取締役 安部征吾です。
弊社は大分で半導体の実装・パッケージング、パワーデバイス関連の事業を展開しています。
現場と経営の両輪を回しながら、「地域×ものづくり×人材」の最適解を探るのが私の仕事です。

ODT社長ブログの初回は、このうちの人材、中でも近年非常に厳しくなっている新卒採用について、弊社が進めている採用戦術についてご説明します。
同じ地方の中小企業の皆様の参考になれば幸いです。

前提:いまは「選ぶ側」ではなく「選ばれる側」

熊本TSMCの進出で九州の半導体熱はかつてなく高まっています。しかし、地方中小の新卒採用は楽になりません。
理由は言うまでも無く少子化にありますが、もうひとつ「情報過多」という点も見逃せません。
それを踏まえて当社は、採用を次の2段に分解して運用しています。

どちらも欠けると母集団は細り、歩留まりも悪化します。
この2ステップについて、それぞれご説明します。
1. 「知ってもらう」の設計 ― アウトリーチは“継続×可視化×回遊”

① 出張講義(高校・高専・大学)

年に数回、地元校に出向き、半導体の基礎、業界トレンド、職業観の磨き方を講義しています。要点は三つです。
継続性:毎年同時期に実施し、先生方の予定に“定例枠”として定着させる。
教材の可搬性:90分版/45分版/30分版を用意(スライドは共通素体)。
回遊:講義末尾にアンケートを取り、講義の内容だけでなく当社の認識を強めてもらう。またHPや各SNSへのQRコードを印刷した名刺サイズのカードを配布し訪問の導線を作る。

② 共同研究(大分高専と継続)

4年にわたって、現場課題に根差したテーマで共同研究を実施。研究の設計と成果発表をオープンにし、学生→現場→次年度学生という学習循環を作っています。
ポイントは、研究テーマ=求人票の翻訳だという割り切り。

抽象的な「やりがい」ではなく、「寄生要素の低減」「熱設計の検証」など職務内容を学生の言葉に置き換えることで、後の応募理由が具体になります。

③ SNS(Instagram)で“普段着の広報”

採用広報は、綺麗なバナーより日常の連続性が効きます。
社内イベントや現場の風景、若手の学びを淡々と発信( https://www.instagram.com/pr_odt/ )。
運用は「週2本、1本=写真3枚・キャプション200~300字、ハッシュタグ固定」までルール化。

経営が口を出すのはKPIだけ(フォロワー増も良いですが、閲覧数などの反響も参考にしています。)に絞ると現場が回ります。

認知フェーズのKPI例

講義接触者数 → 見学/体験エントリー率
SNS投稿本数 → 採用LP回遊率
共同研究参加者 → インターン参加率

2. 「応募してもらう」の設計 ― 労働環境の“見える化”と“更新”

当社は労働環境の整備を高優先度で進め、情報を常に公開・更新しています(新卒採用ページ:https://www.odt.co.jp/recruitment-information/new-graduate/ )。

応募~入社フェーズのKPI例

・見学→応募転換率、応募→一次面接設定率、内定承諾率
・入社後3か月・12か月の定着率
・採用リードタイム(見学日→承諾日)

3. 運用は“仕組み化”で軽くする

4. 失敗から学んだこと

メッセージ過多は逆効果。候補者が知りたいのは「初年度に何を任されるか」「誰と働くか」「安全か」。
求人票の抽象化は離脱の源。職務内容は“今日のタスク”レベルまで砕く。
イベント単発主義は続かない。講義も見学も“定例化”して、先生と候補者の予定表に入れてもらう。

5. まとめ ― 採用はマーケティング×オペレーション

認知(講義・共同研究・SNS)で母集団を作り、応募転換(労働環境の見える化・選考UX・オンボーディング)で歩留まりを上げる。
KPIで回し、年次で磨き込む。派手さは要りませんが、**続ける企業が“選ばれる”**のは確かです。

当社の取り組みが、同じ地方の製造業の皆さまの再現可能な型になれば幸いです。
詳細は新卒採用ページ( https://www.odt.co.jp/recruitment-information/new-graduate/ )と、社内の日常を切り取ったInstagram( https://www.instagram.com/pr_odt/ )をご参照ください。

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